雨を止める

小学生のころだったか。

梅雨の時期のある日、親友の友人という微妙な関係の人の家に遊びに行った。その親友と一緒に。

そこで三人でゲームとかで遊んでいたら、あっという間に帰る時間になった。

しかし運悪く外は雨。二人とも傘は持っていない。やみそうにもない。

仕方がないから濡れて帰るか、と親友と話し合っていると、そこで、

「ちょっとまってて」

聞いていた親友の友人が言った。

なにをするのか、と思い親友と二人じっとそいつを見つめていると

そいつは目を閉じて、指鳴りをする形で手を自分の顔の前に持っていった。

2~3秒だったかそうしたあと、


パキン!

指をはじいてとても澄んだ音を鳴らした。


何やってんだこいつ、と思いふと外を見ると、なんと、

雨がやんでいた。

あっけにとられた自分たちにそいつは、

「ごめん。まだ10分位しかもたないんだ。早く帰った方がいいよ」

照れながら、驚きもせずに言った。

呆然としながら親友と別れ、帰宅した直後、ちょうどよくまた雨は降り始めた。

いまでもそいつとはつながっているし仲もいいのだが、この話をすると縁が切れてしまいそうなのでなるべく避けている。

不思議な体験はけっこうするほうだが、憶えている限りこの記憶が一番古い。

駄文スマソ

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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