映画 エル・トポ

これが現実。これが人間。



R15禁の映画で、ショッキングな場面が多い事で有名です。

最初観終わった後は「何だこれは!」と、ショッキング過ぎて混乱していました。

あらすじはこちらを↓

最強とは何か。平和とは何か。

人に認められるため、自分の尊い人をずるい手を使い殺す。

その行為の意味のなさ。

死とは何か。


最強のガンマンと呼ばれている4人の所へ行き、結構を申し込みますが、みんないろいろな事を教えてくれるんですよね。

抗わない、繊細に、死を恐れるな。


自分の恩師を殺し、自分の行動が正しいのか、

「自分の望まない殺害をさせる愛する女」と「自分に教えをくれる先生」を恐ろしくて秤にかけられない主人公は最後の一人の所へ行き「お前を殺せば俺は最強なんだ!命をよこせ!」と訴え、結構を申し込みますが「俺の命なんかなんになる!こんなもの!」と自らを銃で撃ちます。

最後の一人に自殺され、女性との約束を果たせなかった主人公。

じゃあ自分が殺した恩師の死は無意味になってしまったと気が付いたのか、絶叫しながら恩師の死体がある場所に行きます。

しかし誰が作ったのか底には立派なお墓、誰かがこの人の死を憐れんだ跡がありました。


満身創痍な主人公。結局女性に銃で撃たれ、捨てられます。


しかしこの女性。

最初ある男に飼われており、身の回りの世話に性欲処理、所有物の様に扱われていました。

そりゃあ…またそんな目に合いたくなもんなぁ。

最強の人が自分を守ってくれれば安心だもんなぁ。

この人も人に壊され、可哀想な自分の為、人を犠牲にしようとしたのかなと。


その後、主人公は洞窟の中で目を覚まします。

何年も眠っていたのか何なのか。神の様に奉られていました。

その洞窟の出入り口は上の方に一つだけ。中には奇形の人たちが沢山います。

「外に出たいけど、私たちの体じゃ上まで登れない」

「だったらトンネルを作ろう!」


一人の小人症の女性と共に外へ行き、道化をしてお金を稼ぎ、

ダイナマイトを買って穴を掘る。

まるで聖人。罪を償う聖人です。

そんな生活をしているうちにいろいろあってその女性と恋人になり、

祝詞を挙げてもらおうと協会に行きますが、そこには成長した自分の息子がいました。

「殺してやる!」「トンネル掘るまで待ってくれ!」


逃げないように見張ってやると言っていた息子にも手伝わせながらトンネルを掘り進め、やっと貫通します。

中にいた洞窟の住人がみんな喜び我先にと飛び出してきます。

しかし、この時代は「奇妙な果実」の時代。

肌が違うから殺す。見世物のために殺す。見た目が違うから殺す。殺す。

命を奪う行為が身近だった時代です。

そんな時代に奇形の人が沢山街にやってきたら…


主人公が街に行ったときにはもうみんな銃殺された後でした。

怒り狂った主人公。

そこらにあった銃で街の住人を撃ち、アルコールかオイルを浴びて、焼身自殺をします。

産気づいていた恋人は一人出産し、その後、息子と赤ちゃんと一緒に旅に出る。

そこには主人公を想った墓が一つ。



私が死んだあとは誰か悲しんでくれるのだろうか。

死んだあと、花を添えてくれる人はいるのだろうか。

死が確実にそこにある映画。


殺害されるシーンが多い映画でしたがラストの主人公の墓が一番の死でした。

あぁあんなに悪を働いた人でも改心して人の為に尽くせば自分の死に関心を持ってくれる人がいるのかと。

何もしないのは何も与えられないんだ。

結局主人公はどうしたって人の命を奪う事しかできなかった人生でしたが、その人を想う気持ちは確かでした。


話の内容は日本の菊池寛作「恩讐の彼方に」にかなり似ているんですよ。

この映画でもトンネル貫通後、「師を殺すことはできない」と息子は言います。


奇形の方が多く出て、あらすにじは出しませんでしたが同性愛の描写もある映画で「これ良いのかな」と思ってしまいましたが、そう思う方が差別なんですよね。規制掛ける方が差別を産むんだと。

話とは関係ありませんがそう感じました。


凄い映画を見た!ショッキングだ!と最初は感じ、でも悪い映画だったか?と思うと全くそういう訳ではなく、むしろ良かったなと。

少し落ち着くと映像美が目に入り、ストーリーの良さが引き立ってきます。

じわじわっと、あれってすごい映画だったなぁと。


野性味あふれる人間性が感じられる映画です。是非。

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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