小学生の時の事。
用務員さんが病気になり代理の人が来た。
第一印象は普通のおじさん。
しかし奇妙だったのは全ての女子児童に「ヨリコちゃん」と話しかける。
「ヨリコちゃん、気を付けて帰ってね」
「ヨリコちゃん、どうしたの?」
みんな「あたしカナだよ」「違うよーメグミだよー」と普通に訂正していたが、
気になって周囲の友達に聞いたがどの学年にもヨリコなんて子はいなかった。
まぁ、人それぞれなにかあるものか。
そう思い、興味も薄れていった。
そんなことも忘れたある日、用務員さんがプールの掃除をしていた。
挨拶しようかと近づいたとき、異変に気が付いた。
プールの排水溝に顔をくっつけて何かをしゃべっている。
何だろう。そう思った瞬間、おじさんがしゃべっていた言葉が聞こえた。
「あぁ、ヨリコちゃんヨリコちゃん。代わりがいれば出られるよ。ヨリコちゃん!」
そのあとは走って逃げた。
実際、プールから自分の距離はまぁまぁ離れていたので、本当におじさんがそう言っていたのかはわからない。でも確かにおじさんの声ではっきり聞こえたんだ。
それからしばらくして元の用務員さんが学校に戻ってきて、その人は居なくなった。
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