黒い棒と「あけて」

登山の帰り道、もう日も落ちかけた真っ暗な山道を車で走っていた時。

自分たちが今さっき下りて来た場所が見える場所があるんだけど、そこに差し掛かった時何気なく窓を開けて走っていたら、そっちの方角から

「あけてーーーーーあけてーーーーー」

とはっきり聞こえた。

俺が運転していて、助手席には友人が乗っていたんだが2人とも聞いていた。

思わずそっちの方角を見たら、真っ暗な道(といっても殆ど暗闇)から、夕闇の空に向かって黒い棒のようなもの?が空に伸びていた。

自分は運転していたのでそれ以上見れなかったが、友人はもう少し見続けたらしく、黒い棒は垂直ではなく少しくねりながら立っていたらしい。

「何だあれ?」

「分からん。」

という短い会話をしたすぐその時

「あーーーーけーーーーてーーーーーーーー」

とまたあの声がした。

もうとんでもなく不吉な物を見た気がして、すぐ窓を閉め、適当な音楽をかけた。

その後も細心の注意を払いながら、安全運転を心掛けて帰った。


黒い棒みたいな物体もそうだが

「あけて」

の意味が分からないのが気持ち悪い。

「助けて」とか「やめて」

ならまだしも・・・。

勿論、それからその場所には二度と行っていない。

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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