見えない生者

今鳥肌立ちっぱなしです。酔っ払ってるので少しおかしいかも…

当時中学3年生の僕たちは、ファミレスで2人で勉強していたのですが、

1人の客がまるで向こうに相手がいるかのように話していたんです。

気持ち悪いな~と思っているとグラスは2つ。

店員さんも気を使ってるんだなと、そのときは思っていたんです。


で、その友達と今日飲むことになり、そのことを話したのですが、どうもおかしい。

僕は『変な女』を見たはずなのに友達は『変な男』を見たというのです。

流石に7年も前のことなので間違えているのかな?と思ったのですが、

僕たちがどこに座ったか、その『変な客』はどこにいたか、があてはまるんです。

女だと思っている僕は、女は僕から見て後ろ、

男だと思っている友達は、僕から見て向かい側にいた、と言うのです。

まるでその『変な客』が向かい合っているように…。

会話も、僕が聞いたのは「そうだよね~」や頷きに対して、友達が聞いたのは「~が~でさ~」といった会話で、僕たちの話を合わせると、会話のようになるのでした。


ここで終わりにすれば良かったのですが、「そのファミレスに行ってみよう」となり、

7年前と同じ席に着いて、何か見えるかな~って閉店まで待ってました。

が、さすがに何も起こらない。

失礼だったのですが、ラストオーダーを聞きに店員がきたときに僕が、

「このお店のお客で、1人だけなのにグラスを2つ置いて、相手がいるみたいに話すお客っていましたか?」

と聞いたんです。

そしたら店員が少し考えた後に、

「そういうお客様の話はあります。私も対応した事があります」と言ったんです。

やはり1人で来ていたお客だったのか。

という事は僕たちが見たのは、片方は見てはいけないもので、

そして僕たちのどちらかは見えるはずの生きた人間が見えなかったという事になる。


怖くて僕は聞けなかったのですが、友達が「その人は男性ですか?女性ですか?」と聞きました。

店員は「このことは内密にお願いします。女性のお客様です」と言って、すぐに立ち去りました。


もともと友達は霊感があるらしく、『何か』を見ることがあるようですが、

あるべきもの、すなわちお客である「生きている方の女の人」が見えなかったという体験は初めてらしく、2人で呆然としていました。

で、会計のときに僕が、

「そのお客はまだ来ているんですか?」と聞いたところ、

「まだ来ていますが、お客様はもう来ないほうがよろしいと思いますよ」と言われました。

その後、コンビ二でお酒買って飲み直そうとしたのですが、

救急車が頻繁に通り、怖くなってお開きにしました。

つい1時間前の話です。

ちなみに友達は明日、開店から閉店までそのお店に張り込むつもりです。

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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