ノート

小学校の時の話。

俺の行ってた小学校はかなりのバカ学校で、俺はどうしてもクラスになじめず浮いていた。

ヘビーないじめこそなかったが、何かにつけてクラスのガキ大将的なヤツとその取り巻きに因縁をつけられ、

(今思えばかわいいものだが)イタズラされ、からかわれていた。


その日も俺はノートを隠されていた。

連日のことでもうほんと頭にきていたので、俺もガキ大将のノートを隠して仕返しすることにした。

昼休み、みんなが校庭に遊びに出たスキに、ヤツの机を調べてノートをみつけた。

その時、隠す前にノートを盗み見てやろうと思いついた。


ノートは下手クソな字で溢れ、簡単な漢字も間違え放題で、

やっぱりこいつバカだ、こんなところ早く卒業してえとか思っていたのだが、

急に真っ白なページが続きだした。

「?」と思ってめくっていたら、白いページに汚い字で一言『高島様』と書いてあった。

高島は俺の名前だ。続いて下の名前で『○○様』。

そして次のページには、サイズはグチャグチャで、ページの枠からもはみ出し、

書き損じには鉛筆で乱暴に訂正がしてある『高島様』が、ノートを埋め尽くすほど書かれていた。

俺はノートをそっと戻した。

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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