仕事がはやく終わった日に、友達から麻雀の誘いがきて、いつもの雀荘で麻雀を打っていた。
夜9時頃から次の日の夜11時頃まで、27時間くらいぶっ通しでやってた時に、眠気というよりもぐにゃりとなるような感覚が強くなった。
あ、なんかおかしいなーと思ってめまいのような、意識が遠くなるような感じで、ずっと壁を見つめてたら、急に感覚が「あれ?夏か」という風になった。
においも夏のにおいの感じだし、周りの人も半そでになっててすごく驚いた。
その驚きは今は3月のはずなのになぜ!?みたいな驚きじゃなくて、この年になると時間が過ぎるのはやいな、みたいな感じ。 「えーこないだまで冬やったやんな」という会話もして、仲間たちもほんまそれ、みたいなことを言ってた。 窓際に蚊取り線香もあって、自分は信じられない気持ちになってた。 なんて月日が過ぎるのは早いんだ!と本気で思って軽くヘコみ、自分は3月から今日までどんだけムダに過ごしてたんだろうと思った瞬間、あれ、今何月?となって、友人に「今って何月やっけ」と言ったら「ボォンガツやで」と言われて、「は?」となった。
何言うてんねんみたいに軽く流したあと、ああ七月かあと思い出した感覚になった。 同じ感じで、27時間くらい麻雀打ってるもんだから、今日何曜日やっけ、と話したら、よく覚えてないけど、そこも「フェフェハーなんとか」みたいなこと言われて、そういうのちゃんと答えてこないノリを仕掛けられてるのだと思い、もうええてと軽く流したとたん、急に友人たちが何をしゃべってるのか分からなくなった。
とにかく濁点とパ行と小さいツとか伸ばし棒とかが多いような言葉で、え?え?と軽くパニック。
ふざけてる空気でもなくて、普通にしゃべってる感じなのに意味不明。 なんて言った?とか聞き返すと、真顔で同じ言葉をしゃべってくる。何これ夢?と思ってほっぺた思いきりつねると痛い。
目を白黒させて周囲を見ても何も変わったところはないとその時は思った。(今思うと夏の雰囲気な自体おかしいのに) ちなみに『ポンをペッ、チーをジェッ、ロンをベッグン』みたいな感じ。
自分は頭がおかしくなってしまった!ヤバイ!と強烈に思い、色々仲間たちに何言ってるか分からん!やばい!と言うと、こっちの言葉は伝わってるみたいなんだけど、返事がずっと意味不明。
麻雀そっちのけであれこれしゃべるんだけど本当に意味が分からない言葉。周囲の卓で麻雀してる人らの会話も全部おかしい。 携帯を見ると、文字が全部変。弗とか蹄とかそんなんが多い感じ。カタカナとかはいっさいなく、英語と上記のような漢字みたいなやつ(でも漢字とは思わなかった)とか%みたいなのばっかり。 でも吸ってるたばこはそのまんまだった。自分しか喫煙者がいなかったので自分のしか分からないけど、ウインストンのパッケージはどっからどう見てもいつものウインストン。
言葉が分からないので友人たちに紙に書いてというと、紙に書かれた文字も携帯にあるみたいな文字ばっかりなんだけど、違和感はあるけど、なぜか急にすっと分かった。 「h痔%弗」みたいな感じで書かれてあるのになぜか「りんご」と分かった。
その紙を見てリンゴと分かった瞬間、みんなの言葉が急にわかり始めた。 引き続き変な言葉をしゃべり続けてるんだけどなぜか分かる。あ、よかった、なんか元に戻った!となって、「こんだけチャンガしてたら頭おかしなるわなw」と納得した。チャンガ?と思ったけど麻雀のことか、という感じで受け取った。
微妙にみんなの言葉が変なままだけど、分かるようになったからそのまま麻雀続けて、結局深夜2時頃に雀荘を出た。 雀荘を出たら、夜のはずなのに蛍光色のオレンジ色の空。目がちかちかするようなオレンジ色でまた「!?」となった。
町の景観とかは変わらないけど、空の色?というか夜の色がまともじゃない。 それですごいパニックになって、友人らに「何これ!?ヤバない!?」と言うと、今度は友人らが本気で心配し始めてマジかお前と。 いやおかしいやん!と強めに言うと、「何が?じゃあいつもどんなん?」と聞かれ、するとハッキリと思い出せない。そこでまたパニック。
分からん、もうやばいんかもしれん、ともう泣きそうになった。本当に頭がおかしくなってしまったんだと思った。
自分は精神的に弱いタイプじゃなくストレスとか欝とかとも無縁。能天気すぎる位で物事を深く考えたりするタイプじゃないからよけいショックだった。 何か最近、自分て変だったかとたずねると、全然普通やったと言う。
でもなんか友人たちの顔立ちとか声とかが微妙に違うことに気づいた。もう鳥肌がぞわっと立って、こいつ誰…と思って超恐怖。 でも一方で目の前にいるのが友人だとも分かってる。だから気がおかしくなったんだと本気で思い、明日病院行ってみるわと言った。
仲間のうち1人の友人が、今日は一緒にいようかと言ってくれ、そうしてほしいと頼んだ。
残りの2人は心配そうにしながらも帰って行ったのだけどそれも変。友人らが背を向けて歩きだしたんだけど、歩いてるというより、ふわっ、ふわっ、と跳ぶような、スキップみったいな歩き方。 周りを見渡してもみんなそうで、やばい、本当にやばいと思って超マックスの力でほっぺつねったけど激痛い、夢じゃない。
そしてそこで初めて、変な世界にきてしまったのかもしれん!と強く思った。 世にも奇妙な物語のような感じだ、これは本当にまずい。 でも今までどうやって生活していたかがはっきりと思い出せないし、しゃべるのは日本語をしゃべってるんだけど、どんな文字だったかとかが思い出せない。 本当に頭がおかしくなりそうだった。自分はまともだ、まともだけど不思議体験をしているだけだ、でも不思議体験をしていると思うこと自体がまともじゃないのかもしれん、とか色々思ってまたパニック。 路上でへたり込んで友人に介抱されながら茫然としてた。
友人に、自分はいつもどおりか、変なところはないかとたずねると、いつもどおりだ、容姿もしゃべり方も何も変わってないと言う。吐きそう。
何度も書くけど、友人と話すたびに自分の頭がおかしくなったと確認させられているようで、家族や恋人の顔を思い出そうとしてもそれもはっきりと思い出せない。 記憶はあるし自分の経歴も何度も確認したんだけど、じゃあその学校がどんな建物だったのかとか、教室はとか、何食べたとか。そういうのが分からない。もうこれは絶望のような気持ちだった。
見上げると相変わらず目が痛くなるようなオレンジの空で、写メ撮ろうと思い携帯出して撮影した途端、パンッと携帯が弾けた。空気が抜けるようなパンッとした音で、弾けた。
目を疑って、もうどんだけやばいん…と気を滅入らせると「今の何!?」と友人の方が驚いていた。これには自分も驚いて、この世界でも携帯弾けるのは常識じゃないようだ。
見た!?見たよね!?おかしいやんな!?と二人でギャーギャー騒いだ。 ようやくおかしさを共有してもらえた気持ちで嬉しさと一気に安心したような。 ちなみに弾けた携帯は、弾けた瞬間になくなった。粉々になるとかじゃなくて、消えてどこにも破片とかがなかった。
友人とはそれから路上であれこれと試した。自分は歩いたり走ったり歌を歌ったりして変かどうか見てもらったり。
友人いわく爪と髪の毛が変だと言われた。
友人の爪はふにゃふにゃで、皮膚くらいの柔らかさ。髪の毛も友人の髪は量は普通だけど、きぬみたいに一本一本が細すぎ。(肉眼では一本が見えなくて、友人は見えてるけど自分は友人いわく20本セットの量でしか分からない)
それでようやく2人して何かおかしい、ということになった。
この間、自分はたばこ吸いすぎてたばこがなくなった。麻雀中に違和感を感じる前に店で買ったばかりだったけどすぐ切れた。 そして友人にコンビニある?たばこ買える?と聞いた。
その瞬間、体中に鳥肌と一緒に強い灼熱感を感じた。皮膚全部に激痛。 そして本当にしょうもないんだけど、それからのことを全然覚えてない。
気がついたら雀荘に入ったところだった。
雀荘に入ったところで立ってて、友人3人が卓を囲んでる。この景色見たことある、ってやつ。それでも27時間やってたはずとかその変な空の色とか覚えてる。 絶対に夢なんかじゃないのに、時間が戻ったようだ。何?また変なとこきた?という感覚で茫然と突っ立てたら友人が気づいてはやく来いよと。 携帯を確認したら8日だし、今日だという感覚もあるけど、いや昨日やんという感覚もあった。
恐る恐る友人らに近づいて顔をまじまじと見たり爪や髪も見たけど普通。自分と違うところはないし、顔も声も違和感を感じない。 でもまだ不安で紙にりんごって書いて、と言うと、りんご、と書いてる。 変な文字なんかないし、カーテンをあけて空を見ると真っ暗で、懐かしいような、ああこれだ!!みたいな、思い出したような感覚になった。
そして友人たちに27時間ぐらい麻雀やってたんていつやっけ、と聞いたら、そんなんあった?とか、それ俺らじゃないんちゃう、とか言う。 それで驚いて、自分でもどこからどこまでが変な世界だったのか分からない。 何か変な体験して、とかいっても頭がおかしいとか思われそうだったし、あの感じで引くような心配をされるのもあれはつらかったので黙ってた。
蚊取り線香があったはずの店の窓際にはもちろん蚊取り線香なんかないし、3月だしみんな長そでを着てる、店員の歩き方も普通。 あれ本当になんだろうと、変な夢でも見てたんかな、でもやとしたら家で寝てて夢みて記憶ないまま雀荘まで来てるし、本当にわりとどっかおかしくなってるんかなとか思いながら麻雀打ってた。
それから普通に麻雀打ってて、麻雀打ってる間は真剣なのでもう不思議体験のこととかもすっかり忘れていた。
夢中になってたら自分のかばんに入れてる携帯が電話鳴った。恋人か会社からだろうと思って、ごめんかばんから携帯とってくれへんと言うと友人が自分のかばんから携帯を取り出してくれた。
すると友人が「お前なんなんこれ!?」と言う。
iphoneなんだけど、画面も、裏も、ガビガビでひび割れまくり。そのひび割れ方も尋常じゃない見たことない割れ方してる。 なんでこんなんなってんwと笑う友人に対して、自分は絶句。こんなに割れた記憶も、落としたとか、いっさい記憶にない。 そもそも自分は皮のiphoneケースを使ってて、(ブックカバーみたいに普段は閉じてて携帯見る時に表紙みたいなの開くやつ)落とした時も別に画面にひびが入るようなことなんてない。 それに雀荘に入って日付を確認した時には多分なかった。意識してなかったけど、そういうものと思い込んでたのかもしれないけど、こんな割れ方してなかった。
思い当たるのはたったひとつで、あの、携帯が弾けたことだけだった。
もう頭を抱えまくって、麻雀切り上げて仲間たちと飲みに行って全部話した。興味深そうだったけど、あとは違う話題のこととか話してた。
それで気も紛れてたらたばこが切れて、その居酒屋は自販機があったのでちょっと買うわと言って、タスポ入れてるカードケースをかばんから取り出そうとしたらかばんのなかに新品のたばこが入ってる。 それはウインストンなんだけど、雀荘で買う時に選ぶウインストンなんだよ。
行ってる雀荘にはたばこの品数が少なくて、普段コンビニで買うウインストンじゃないウインストンしかなくて、だから仕方なく雀荘でたばこを切らした時だけそのウインストンを買ってた。
え、自分て雀荘でたばこ買ってた!?と友人ら尋ねると、みんなして買ってないと言う。なのにあそこでしか買わないたばこが入ってる。
確かに、あの不思議体験中か分からないあの27時間ぶっ続け中には雀荘で買った。雀荘で買ったたばこを吸いながら路上で友人とあれこれ確認してたし、そのたばこが切れてコンビニないか聞いたし。 だから、どこからどこまでが不思議体験なのかが自分でも分からない。
自分では雀荘で27時間ぶっ通しでやってた記憶も、その間、自分がどれだけ負けこんでたとか、友人がこういうアガり方したとか全部覚えてるし、体験として夢じゃなかったと思う。
違和感を感じたのは、夏だと思った時からなんだけど、たばこはその前に買ってたし、そもそも27時間麻雀なんかしてないことになってるし、病院は気が滅入りそうで行ってないけど、頭がおかしくなったわけでもないと思ってる。思いたいだけかもしれないけど。
それから会社行って、自分てずっとこんな携帯使ってたか周囲に尋ねても、「これやばいっすねw週末なんかあったんでしょw」と言われた。先輩にはそんな携帯使うなと怒られた。
8日に会社行ったあと麻雀してたから、それで気付かれて怒られるとしたら8日。 日曜日は休みで会社に行ってないから、だけど先輩に気付かれて怒られたのが初めてだったし、ということは麻雀に行く前に会社にいた時はひびなんか割れてなかった。 ほっぺは痛かったし、あれが夢だったとは到底思えない。異世界、というものがあるとすれば、そこに行ってしまったとしか思えない。
そうじゃなければ携帯とたばこが説明がつかないので自分でもどこからどこまでが、とかはよく分からないけど、とにかく不思議だった。今のところ携帯とたばこしか変になってるもんないけど。
以上です。
ちなみに自分は霊感とかいっさいないし、怖い話大嫌い。SFとかパラレルワールドとか興味もなかった。 自宅にパソコンなくてスマホからはなぜか書き込みできないのでネカフェからの投稿です。
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