ヤンキー先輩

 ちょうど2年前の今頃、地元に帰ったとき久しぶりに先輩に会った。 

その先輩は地元でちょっと有名なヤンキーで、よく考えたら、ヤンキーらしいことは何もしてないんだけど、 頭の悪さがヤンキーだったから、みんな先輩のことをヤンキーだと思ってた。 

久しぶりに会った先輩は相変わらず頭が悪くて、 「よう!久しぶり!きもだめし行かね?」って、脈絡の無い提案をしてきた。 

俺「他に誰が行くんですか?」

先輩「二人っしょ俺と」

俺「えぇ・・・」

先輩「いやマジお勧め後悔させないってかハズレ無し」

何が当たりになるのか。

先輩「マジマジ俺もう10回見たウヘヘ」


 ちょっと気になって待ち合わせの時間に先輩の家に行くと、 先輩は既に家の前でスタンバってレーザーポインターで遊んでた。 

先輩の車で「出る」という湖に行くと、確かに雰囲気がある。

 いきなり先輩が後ろで「霊!」と言ったので俺がびっくりして振り向くと、 先輩は湖に向かって「霊!おい!霊!」って霊に呼びかけている。 ダメだこの人w  

だけど先輩が「見ろあれ見ろ」って言いながらレーザーポインタで湖を照らすと、 確かにその辺に白い人が歩いてる影が見える。湖の上なのに。 先輩は満足そうに「なっなっ?」と俺にドヤ顔をしながらタバコをふかす。 

レーザーポインタでひとしきり霊と遊んだ先輩は、「腹減ったし行くか」と霊を放置しながら歩き出した。 

多分この人にとっては霊も蛍も区別が無いんだろうな。

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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