蝋燭を持った老婆

小学校で教員やってたとき、そこの先輩が話してくれた話です。

その先輩は50くらいですが、たくましい体のおじさんでした。


その先輩の若いころ。

先輩はサイクリングが趣味で、一人で自転車に乗り、いろいろなところに行ったそうです。

大学受験が終わり、暇をもてあましたころ、ふと思い立って泊りがけでG県に行きました。

詳しい経過はよく覚えてませんが、なんやかんやあり、G県のとある駅に野宿することになり、

先輩はそういう野宿はよくやってたそうで、戸惑うこともなく寝支度をしていました。


寝袋の中に入ってもなんだか寝付けません。

真っ暗の無人駅なので、暗い、暗い、暗い。


ぼんやり暗闇を眺めていると、明かりが近づいてきました。

何だ・・・?

目をこらすと、蝋燭。蝋燭を持った老婆。

「何をしてる?」

老婆は比較的明るい声で聞いてきました。

その声に先輩は比較的安心し、野宿することになったと事情を話しました。

すると老婆は気の毒そうな顔をして、

「コレをたべんさい」と言って、持っていたカバンから茶碗に盛られたご飯を出しました。

先輩は驚き「なんですか?」と尋ねると、

「ああ・・ご飯だけじゃ食べにくいなぁ」と答え、まだ暖かいご飯に腕時計を乗せました。

蝋燭の乏しい灯りで見ると、やけに赤い、なんだか皮膚らしきものも付着している。

先輩はパニックに陥り、寝袋をひっつかんで逃げました。

話はこれだけです。

殆ど意味不明だったのですが、とても怖かったので・・・

WUNDERKAMMER

名作は、名作と呼ばれる理由があるはず。 それを求めて映画や本を観ています。 あとは奇妙なもの、怖い話や自分が好きなものをここに集めています。

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